木下さんの神棚は自宅隣の旧家にあります。文化財になってもおかしくないその風情のある建物は、先々代から受け継ぎ100年近くは経っているのだそうです。鋳物に携わる家だったそうで、年季の入った五徳・ドアの把手・栓抜きなどの鋳造品が、まるで博物館のように玄関の土間に飾られていました。
居間にある神棚は、先々代の当主が自身でこしらえたもの。代々守り続けてきました。日々のお手入れは日常の一部で、誰に言われるでもなく自然と身に付いたものだそう。
神棚の奥にともにまつられていた木彫りや陶製の恵比須さまは、山で拾ったり物置に転がっていたものでした。「ふと目が合うと無視できなくて…なにせ神さまなので」と木下さん。神さまはどこにでもいる、日本人らしい一面を垣間見ることができました。